相思相愛ですがなにか?

**********

朝、目を覚ますと、なぜか月子ちゃんが俺に引っ付いて寝ているときがある。

寝ぼけているのか、寝相が悪いのか、夜寝る時にはきっちり50センチの距離を開けているはずなのに、今は睫毛の影すら見える距離にいる。

(まだ寝ているのかな……)

頬にかかった髪を指で払ってやると、くすぐったそうに身をよじらせる。

「う、ん……」

布団と間違えているのか俺の腕に甘えるようにすり寄ってくる様は、愛らしい仔猫のようだ。

……それも、血統書付きの誇り高い仔猫だ。

(少しぐらい……いいよな)

よこしまな思いを抱えながら彼女の身体をそっと抱き寄せると、ふわりとボディークリームの甘い匂いがした。

もし、月子ちゃんが起きたとしても寝ぼけていたと言い訳をすればいい。

誰に咎めることなく、月子ちゃんに触れられるようになるのは一体いつになることやら。

< 120 / 237 >

この作品をシェア

pagetop