相思相愛ですがなにか?

「詫びの印に何か送ろう。なにがいい?やはりラクダか?」

ラクダと聞いて私はぶっと吹き出した。

ゴホンゴホンと軽く咳払いして、アスキムに伝える。

「アスキム!!ラクダはもういいのよ!!」

あの二頭よりも増やされたらたまらないわ。

結局、この政略結婚で一番得したのは私と伊織さんから貢ぎ物をたんと貰ったお兄ちゃんだ。

「ラクダはいいから祝福の拍手を頂戴。たくさんね」

「いいとも」

アスキムはニヤリと笑い快く引き受けると、私との再会を惜しむルーと一緒に支度部屋から出ていった。

やがて、伊織さんも花嫁を教会で出迎えるために支度部屋を後にする。

ひとりきりにされると、この婚約から結婚式に至るまでの怒涛の日々を思い出して感慨深くなる。

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