俺様女王様幼なじみの恋愛模様
「いい加減放し…」
「何やってんの?」
もう一度、放してと言おうとした声は
廊下から聞こえる低い声にかき消された。
私は廊下に背中を向けているけど、
コツコツと音を立てて
こちらへ近づいてくる人物が誰なのか
もう分かってしまっていた。
…やっぱりこいつは私のヒーローだ。
「広斗…。」
私が名前を呼ぶのと同時、
あれだけ離れなかった体が
スッと離れていった。
代わりに後ろから伝わる体温が
広斗のものだと分かると
さっき達也に抱きしめられた時のような
嫌悪感は全くなく、安心感でいっぱいになった。
そして離れたことによって
見ることが出来るようになった達也の顔は
怒りや悔しさが滲み出ていた。