極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

急いで否定する。深窓の令嬢などでは決してない。


「お相手は?」
「ええっと、ツキシマ海運の方です」
「……ツキシマ海運?」


早紀の目が点になる。早紀の彼氏はツキシマ海運の営業だと言っていたから、驚くのも無理はないだろう。


「家が絡んでるってことは……役員クラス?」
「社長さん……みたいです」
「社長って、亡くなった父親のあとを継いだ?」


きっと彼に聞いたのだろう。
目を見開くだけでなく、口までぽかんと開く。早紀の驚愕ぶりは半端なかった。

その隣で大和も放心状態だ。顔がほんの少し陰って見えるのは、陽奈子が釣り合いのとれない相手との結婚に踏み切ろうとしているからか。
上司として心配してくれているのかもしれない。


「小さな工場の娘なのに、どうしてツキシマ海運ほどの大企業との政略結婚が持ち上がるの?」


早紀が核心を突く。そう思われても無理はないだろう。

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