極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
目が飛び出るかと思った。
そんな気持ちに身に覚えはない。
「だって、好きじゃなかったらそうやって悩まないだろ。親の借金のためにした愛のない結婚だから、身体を求められなくてよかったって思ってもおかしくない」
「そ、それは……」
胸を衝かれるような思いがした。
「それなのにどうして抱いてくれないんだろうって悩むのは、しっかり旦那を好きな証拠だ」
思わぬ指摘をされ、心拍数がぐんぐん上がっていく。心臓の音がやけにうるさい。
目を大きく見開き、まばたきを激しくさせる。
(私、貴行さんを好きなの……?)
自分の心に静かに問いかける。
マルタ島でされた不意打ちのキスに戸惑い、その意味を図りかねて眠れない夜を過ごしたことを思い出した。
約束をすっぽかされた空港で、ひどく落ち込んだ自分もいた。
あれは旅特有のアバンチュールだったのだと無理に気持ちを押し込めたときに、胸が痛んだ記憶もある。