極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
社長夫人になるのが目的だったのではない。
陽奈子がこの結婚に同意したのは父親の工場を守るため。社長夫人の座はその結果ついてきたもの。
だからといって、今ここで智子に歯向かったら関係性が悪化するのは火を見るより明らか。陽奈子は笑顔を崩さず「おばさまのおっしゃる通りです」と答えた。
そしてさらに続ける。
「お忙しい貴行さんのサポートには、全力で取り組んでまいりますので」
「まぁ、陽奈子さん、頼もしい。さすが貴行が選んだ女性だわ」
楽天的な阿佐美に救われる思いがした。
それから二時間が過ぎ、嵐のような智子が去ったリビングで阿佐美がポツリと呟く。
「陽奈子さん、嫌な思いをさせちゃったわね」
智子はタルトをふた切れ分ペロリと平らげ、言いたいことだけ言って満足そうに帰っていった。
「いえ、大丈夫です」