極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
不意に後部座席の窓がノックされる。そうして初めて、車が停車していることに気づいた。
唇が解放され、横になったまま窓の外を見ると、そこはふたりの新居の前だった。
どれくらいそうしてキスを重ねていたのだろう。
時間の感覚はまったくないが、あのホテルからの距離を考えると、三十分は経過していると思われた。
もしかしたら運転手は、後部座席でなにが行われているのか気づいていたのではないか。
だからノックをして、ドアを開ける合図を送ったのでは。
貴行に優しく身体を起こされ、シートに座って服の乱れを直す。キスしかしていないが、ものすごく濃密な時間を過ごしたのはたしか。
きっちりとまとめていた貴行の髪が少しだけ乱れ、それがやけに色っぽくてドキッとさせられる。
「続きは降りてからだな」
一段高い音が胸の奥で鳴った気がした。
カーッと熱くなった陽奈子の頬に触れてから、貴行はドアを自分で開けた。
運転手の顔を見られずにそそくさと降りる陽奈子に対して、貴行はいつものように優雅な身のこなしで、ついさっきまで激しいキスをしていたとは思えない振る舞いだった。