極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
スマートな仕草で運転手に「ありがとう。お疲れさま」と言うと、陽奈子の腰を引き寄せ歩きだす。
陽奈子は、その手に意思が込められているような気がして、運転手にぎこちなく頭を下げただけだった。
続きは降りてから。
そう宣言した通り、貴行は玄関のドアを閉めるなり陽奈子を抱き上げた。
「――ひゃっ! た、貴行さん、自分で歩けますからっ」
このままベッドへ直行なのは雰囲気でわかる。
でも、階段を上がってふたりの寝室までこの状態で歩かせるのはどうかと思う。なにしろ陽奈子は細いほうではない。
身長だって一六〇センチあるのだ。それなりにしっかりと体重はある。
「いいから黙って」
「黙ってって……!」
じたばたと抵抗していると、貴行はふと足を止めた。涼やかな視線が陽奈子を射抜く。
「落とされたいのか?」
「それは困りますっ」