極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「貴行さん! どうしたんですか?」
「仕事が早く終わったから、陽奈子を迎えにきた」
陽奈子が大きな声を出したせいか、店内のあらゆるところから視線を一気に浴びた気がする。
「ありがとうございます。でも……」
どうやら陽奈子のほうはまだ仕事をあがれない様子だ。うしろを振り返り、困ったような表情になる。
「それなら車で待ってるよ」
責任をもって仕事をしている陽奈子に無理をさせるわけにはいかない。
貴行が「じゃ」と手をあげたところで、大和が奥からひょっこりと顔を覗かせる。
自己紹介を兼ねて挨拶すべきかどうか迷ったが、ひとまず頭を下げるにとどめた。
「陽奈子ちゃん、今日はもうあがって平気だよ」
「ですが、もう少しくらいなら。今日は早紀さんもいないですし」
「いいからいいから」