極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
口ぶりからすると、陽奈子が簡単に誘いに乗る女だと思ったからではなさそうだ。
(それ以前に、私なんて誘わなくても女の人に不自由はしてなさそうだけどね)
見た目はもちろん、仕草も洗練されている。陽奈子がこれまでに出会った男の中でもダントツだろう。
ここに住んでいるのかどうかはさておき、きっとマルタの女性もイチコロにするに違いない。今朝、指輪を探していた女性も、貴行を見てポッと頬を赤らめていたくらいだ。
(……あ、ほんとにおいしい)
花の蜜のような甘みが、さわやかな香りと一緒に鼻から抜けていく。
「口に合ったようだな」
陽奈子の表情で察したらしい。貴行は満足そうに唇の端を上げた。
「はい、甘いのにさわやかですね。白ワインは普段あまり飲まないんですけど、これはすごくおいしいです」
相手が不躾な男だと忘れて、ついニコニコとしてしまった。