極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

口ぶりからすると、陽奈子が簡単に誘いに乗る女だと思ったからではなさそうだ。

(それ以前に、私なんて誘わなくても女の人に不自由はしてなさそうだけどね)

見た目はもちろん、仕草も洗練されている。陽奈子がこれまでに出会った男の中でもダントツだろう。

ここに住んでいるのかどうかはさておき、きっとマルタの女性もイチコロにするに違いない。今朝、指輪を探していた女性も、貴行を見てポッと頬を赤らめていたくらいだ。

(……あ、ほんとにおいしい)

花の蜜のような甘みが、さわやかな香りと一緒に鼻から抜けていく。


「口に合ったようだな」


陽奈子の表情で察したらしい。貴行は満足そうに唇の端を上げた。


「はい、甘いのにさわやかですね。白ワインは普段あまり飲まないんですけど、これはすごくおいしいです」


相手が不躾な男だと忘れて、ついニコニコとしてしまった。

< 36 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop