極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「陽奈子も年齢を引き合いに出しただろう?」
「あっ……」
そう言われて、年下だからといって呼び捨てにされたくないと思った自分を思い出した。
そのくせ、その陽奈子自身も今、年上の貴行を呼び捨てにはできないと。同じように年齢にこだわっている。
「ともかく座って」
ぐうの音も出ない指摘をされたためか、陽奈子は言われるままに力が抜けたようにストンと腰を下ろした。
貴行はスマートな仕草で店員を呼び、流暢な英語で注文を済ませる。お酒は飲めるかと聞かれ、少しだけならと答えた。
すぐに運ばれてきたグラスワイン。色味からすると白ワインだろう。
「マルタ島の白ワインといえば、これがおすすめだ。日本人の口に合いやすい」
すっかり貴行のペースに乗せられているのは気のせいか。グラスを持ち上げて乾杯の仕草をされ、ぎこちなく同じようにした。
この人はどうして自分を食事に誘ったのだろうか。