極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
触れ合った手も、しげしげと見られる顔も熱を帯びて火照る。
やけに強い視線から、なぜか目を逸らせなかった。
「魅力的な顔ってことじゃないか」
「……えっ?」
意外な言葉が貴行の口から飛び出した。
「人を惹きつけるチャーミングな顔。そういうことだ。なにも、卑下する必要はない」
貴行はわずかに目を細めた。微笑んでいるような、優しい顔だ。
(魅力的? 人を惹きつけるチャーミングな顔……? そんなこと言われた経験ないよ……)
これまでは、どちらかと言えばマイナスなイメージで言われ続けてきた。プラスの印象で形容されるのは初めてだ。
大学生のときには、デートに誘われてラブホテルに直行されたことがある。懸命に拒むと、『誘ったのはお前のほうだろう? 物欲しそうな顔してたくせに』と暴言を吐かれた。