悪役令嬢、乙女ゲームを支配する

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 鏡の前でメイクを直しドレスを整えていると、あっという間にディナー会の時間になっていた。
 急いで部屋を飛び出し招集がかけられている大広間へ行こうとするも、広いお城の廊下はまるで迷路。
 自分が今どこにいるのかもわからなくなり焦っていたその時――

「貴女、こっちですわよ」

 またわけがわからない方に行こうとしていた私の腕を、一人の女性が引っ張る。

「あ、ありがと……って!」

 そこにはまた見たことある顔の二人組。
 名前は忘れたけど、いつもマリアの後ろをくっついていた取り巻き二人組だ!

「なんですの? 人の顔見て声上げて。どこかで会ったことことあるかしら?」
「いっ、いや! そうじゃなくて……二人、顔似てるなって思って!」
「あらそういうこと。私達双子ですのよ。私はジェナ。こっちが妹のジェマよ」
「ジェマでーす! よろしくぅーっ!」

 そうだ。ジェナジェマだ。
 髪を右に結わえて落ち着いてるのが姉のジェナで、左に結わえてはしゃいでるのが妹のジェマ。
 仲良くドレスの色まで同じ黄色で揃えてくるもんだから、それ以外で見分けをつけるところがない。

「ジェナとジェマね。私はマリア。よろしく」
「マリア、貴女もパーティーの参加者ですわよね? 一緒に行きましょう」
「えっ! いいの? 助かったぁ……」

 ジェナジェマのお陰で、無事大広間にはたどり着けそうだ。

「ジェナとジェマは二人一緒に招待されたの?」
「そうだよー。いつも何でもジェマはお姉様と一緒だもん」
「でもそれだとどっちか片方が結婚相手に選ばれると複雑なんじゃない? 嫉妬したりとか……」

 そう言い返す私を、二人はぽかんとした表情で見つめる。 
 え? 私変なこと言った?

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