Bon anniversaire
麗愛の緊張が限界に達したのは言うまでもない。

出会いから一ヶ月後、麗愛は伯から告白され、お付き合いを始めることになった。



「フランス語で「恋」はamour。「天使」がangeだよ」

学校からの帰り道、伯は麗愛にフランス語を教えてくれる。おかげで、麗愛も少しフランス語がわかるようになった。

「フランスってきれいなところですよね。おとぎ話みたいで」

麗愛がそう言うと、「おとぎ話を書いた人はいるよ。シャルル・ペロー。シンデレラとか知ってるでしょ?」と伯が麗愛の顔を覗き込む。

「はい!知ってます!」

急に顔を近づけられたので、麗愛は胸を高鳴らさずにはいられなかった。イケメン耐性はないに等しい。

麗愛は時々悔しいと思うことがある。伯は麗愛が緊張しながらキスをしても、涼しい顔で「merci(ありがとう)」と言われるだけだ。自分ばかりがドキドキしていることが、麗愛は悔しくてたまらない。

「伯先輩は、私にドキドキしたりするんですか?」
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