愛を捧ぐフール【完】
 なんとも言えない顔をしたファウスト様は、そのまま微妙な面持ちで続ける。


「君の侍女だったビアンカ嬢は、オリアーナ嬢に引き取られた後、今はアルフィオの元で侍女として働いているんだって。そこですごい勢いで昇進しているみたい」

「そう……。あの人も今世は幸せになって欲しいと思うのだけれど」

「……そうだね」


 ファウスト様にはテレンティア様がビアンカだとは思わなかったらしい。ビアンカはファウスト様の部下のラウルの部下だったのだと。つまりファウスト様の直属部下ではないけれど、立場的には部下だったらしい。


 彼はなんとも言えない顔をして、そうかと呟いただけだった。クリストフォロス様も半ば無理矢理だったが、昔結婚した元妻だからだろうか。


「……クリストフォロス様は、これからアルフィオ様にずっとお願いされたら戻られるんですか?王都に」

「うーん、どうしようか……。でも……」


 ファウスト様にとってアルフィオ様は、可愛い弟なのだという。前世で兄弟のいなかった彼には新鮮なのだろう。身内として助けたい思いはあるらしい。


 ファウスト様は私の腰に手を回し、グッと自身の方へと引き寄せる。そして、私のおでことくっ付けて艶やかに微笑んだ。


「誰もが僕の事を女に溺れた愚か者と呼ぶだろう。事実その通りだ。前世(むかし)も今世(いま)も君に溺れている。



 ーーでも、前世は国の為に我慢したから、今世は我が儘に生きても……いいよね?」


 そう言った彼は、ゆっくりと私の唇にキスをした。
< 285 / 285 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:48

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

私、愛しの王太子様の側室辞めたいんです!【完(シナリオ)】
  • コミック掲載中
表紙を見る 表紙を閉じる
「一月後、ユリシーズ殿下との〝閨の儀〟が正式に決まりました」 女官長から突然告げられた言葉。 後宮の側室最古参だったローズマリー。 だけれど、年齢的な問題で正式な側室ではなかった。 けれど、もうそろそろ時効みたいです。 「私は、ユリシーズ様の側室を辞めたいんだもの!!」 ありとあらゆる手を使ってでも、絶対後宮から出てやるんだから!!と勢い込む側室ローズマリーと 「ごめんね。それは認められないかな」 ありとあらゆる手を使って側室を囲い込もうとする腹黒王太子ユリシーズの ちょっとおバカな攻防戦と陰謀劇。 (だって、他の側室が ユリシーズ様の子供を妊娠しちゃったんだもの) こちらはマンガシナリオになります。 「第1回comic Berry’sマンガシナリオ大賞」にエントリーしています。 ※五話までの投稿です。 「第1回comic Berry'sマンガシナリオ大賞」入賞致しました。ありがとうございます。 ※公募時のものなので、コミカライズと多少話が異なります。(2021/4/24追記) ※全編公開(2021/07/21)
表紙を見る 表紙を閉じる
「選んで?このまま娼婦になるか。それとも俺の愛人になるか」 借金のカタに娼館へと連れていかれそうになっていたユリアーネを助けたのは、 大層目を惹く容姿をした男だった。 婚約破棄からの逃亡、 逃亡先で他人の借金の連帯保証人とハードモード状態の次は、 「王太子様の愛人?!」 更にハードモードのようです。 「せっかく君を買ったんだ。しっかり返してもらうよ。――その身体で」 これは王位継承権争いを企む王太子リーヴェスと、 隣国の元悪役令嬢であるユリアーネが 大勢を巻き込むお飾り愛人計画。 (どうしよう……!私、隣国の賞金首なのだけれど……っ!)
表紙を見る 表紙を閉じる
「この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。」 のバレンタイン限定小話。 2月14日〜3月13日までの期間限定公開、 ファン様限定公開です。 ※現在進行中の本編よりも少し甘くなってます。 バレンタインだからはっちゃけました。(言い訳)

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop