愛を捧ぐフール【完】
 自分の役割をちゃんと分かっていて遂行してくれているが、こういう気の抜ける場面では子供らしい一面を見せることが多い。


 シストは弟のアルフィオと同じように可愛がっているが、周囲の事もあってかアルフィオが僕に対してコンプレックスを抱いているのは知っている。それに葛藤するのも。


 その分シストはそのまま僕に懐いてくれているので、気楽ではあるが。


 それにしても、とアルフィオと交わした言葉を思い出す。
 アルフィオがクラリーチェとセウェルス伯爵の婚約破棄を画策してるのは意外だった。


 ……というか、アルフィオがクラリーチェに興味を示したという事が。


 聞けばフィリウス侯爵家の嫡男サヴェリオの頼みらしい。やはり姿形は違えど、中身は同じ人と言うべきか。


 クラリーチェみたいに直感的に分かった訳では無いが、敵意を向けられて注意深く彼を見て分かった。誰であるかを。


 かつての親友に完全に嫌われてしまっているのは、もう随分と前から知っている。エレオノラが亡くなってしまった辺りから、僕とフォティオスは絶縁状態だ。
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