愛を捧ぐフール【完】
 もう無くなってしまった国とはいえ、側室に一国の王女様がいるのです。対して王妃様は大貴族の令嬢。
 元ホノリスの国民の為にも、世継ぎの為にも、公務の出来ない王妃など必要ない。


 王妃様は再度王様に申し出ました。
 今度は離縁ではなく、側室にしてくれと。


 しかし、王様は首を縦に振ろうとはしません。
 王様の心はどんな美女が側室になろうとも、王妃様の元から離れる事は無かったのです。


 渦中のホノリスの王女様は、祖国を救ってくれた王様に深く感謝し、王様を愛しました。
 そうして憧れを抱くようになりました。


 王様の隣に堂々と立ちたいと。


 今まで王様は公務の出来ない王妃様に代わり、側室である令嬢を代わる代わる傍に連れていました。


 ホノリスの王女様が来てからは、元ホノリスの国民に好印象を持たせる為に王女様と公務をこなしていたのです。


 ホノリスの王女様は、それだけでは満足しませんでした。
 王様の心がどうしても欲しかったのです。
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