アイスクリームと雪景色
『明日の朝ですけど、よかったら迎えに行きましょうか』

「え?」

予期せぬ申し出に、目をぱちくりとさせる。

「迎えにって、里村くんが私を?」

『はい。俺、車を借りてますから。かばんを乗せて行きますよ」

美帆は後ろを振り向き、荷造りを終えた旅行バッグを見やる。確かに、朝のラッシュ時にあれを持って電車に乗るのは大変そうだ。

「でも、遠回りになるでしょう。里村くんは会社の近くなんだし」

『いえ、どうってことありません。車なら早いですよ。ぜひぜひ、どうぞ!』

いやに前のめりなのが気になるが、今思いついたのなら深い考えはなさそうだ。

(なんて、いちいち疑うのは失礼よね。親切で言ってくれてるんだし)

美帆は決心し、ここは後輩に頼ることにした。

「それじゃ、お願いしようかな」

『わっかりました~!』

目が覚めそうなほど陽気な声に美帆は笑った。

明日は上谷村に温泉旅行。

たとえ社員旅行でも、眠れないほど楽しみにしている年下の男を、美帆は初めて可愛いと思った。
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