アイスクリームと雪景色
謎めく社員旅行
翌朝、美帆がアパートの前で待っていると、里村は時間どおりにやって来た。ド派手なスポーツカーか、それとも高級な輸入車か……と思いきや、彼の車はコンパクトなSUVだった。

美帆を見つけると嬉しそうに手を振り、駐車場に車を停めて素早く下りてきた。

「おはようございます、成田さん。お待たせしました!」

ゴミ出しに出てきたアパートの住人が何ごとかと振り返った。美帆は慌てて、静かにするよう里村に注意する。

「へへ……すみません」

ついに社員旅行当日となり浮かれているのだ。

(まったく、小学生の遠足じゃないのよ)

呆れる美帆だが、里村の気持ちが分からなくもないのでそれ以上何も言わず、とにかく荷物を載せてもらうことにした。
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