彼女を10日でオトします
 1時限目、体育を使うクラスは、たしか1年の男子。
 おそらくバスケだわな。
 キョンちゃん、ラッキーよ。1年だったら、気づかない。

 と、いうことは。

 俺は、扉から入って右手の手前に積み上げてある道具を動かした。
 もわっと埃が立つ。

 いやあねえ。ちゃんと掃除しましょうよ。

 うーん。コンクリート剥き出しの床は、冷たいだろうな。体操のマットを一枚拝借しよ。

 それから、少し空洞を作るように跳び箱をずらして……。

 重っ!!
 かおるん(あ、他校の友達ね。荒木薫ってやつ)まで筋力なくても、せめてヒデぐらいあればなあ。

 俺ってば、見ての通り細いでしょ? しかも筋トレしても筋肉つき難い体質なのよ。

 やっとこさ跳び箱やら、マットやらバドミントンのラケットが入っている籠やらを動かし終えたところでチャイムが鳴った。

 よし。
 カッターシャツと制服のズボンを軽くはたいて、埃を落とす。

「キョーン、こっちこっち」

 訳がわからない、という顔をしているキョンの腕を引っ張って、出来立てホヤホヤの空洞にキョンを押し込めた。

 キョンからジャケットを受け取って、蛍光灯のスイッチをOFF。ジャケットを羽織りながら空洞の中に入る。

 うんうん。いい感じのぎゅうぎゅう具合い。
 その場、さっき少しだけ転がして敷いたマットに座る。

「キョンちゃん、座らないと見つかっちゃうよ?」

 突っ立ったままのキョンは、頭だけひょっこりと跳び箱からはみ出している。

「何がよ?」

「見つかっちゃだめなのお。そろそろ1年の男子が来るよ。
はい、座った、座った」

 キョンの腕をぐいっと下に引っ張って、足を開いた体育座りの間にキョンを座らせた。
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