彼女を10日でオトします

 キョンは、俺の腕の中にすっぽり納まって、俺のしょうもない話に耳を傾け、素直とも皮肉ともとれるコメントを返す。

 キョンは、俺のことをどう思っているのだろう。
 嫌い? 実はそうでもない? 寧ろ好き? だったら、ライク? ラブ?

 人を好きになることが、こんなに疑問だらけだとは思わなかった。

 今までだってね、俺、恋愛してたんだよ。ちゃんと好きだった。

 たくさんの女の子と付き合ってきたけど、疑問なんてわかなかった。

 好き、だからキスする。キスすれば、その延長で体を重ねる。体を重ねれば、もっと好きになる。

 今まで、恋愛は足し算だった。

 女の子の好きという気持ちと俺の好きという気持ちを足して、足して、その答えが、まあ、その、諸々、大人の行為ってやつ?

 知りたいなんて思わなかった。知りたいと思わなくても、女の子の方から教えてくれた。
 というか、偏見だったのかな。
 女の子って、『知ってほしい、わかってほしい』って願ってる生き物だと思ってた。

 だけど、変なんだ。

 キョンとは、大人の行為どころか、キッスだってしてないのよ、実際。

 なのに、顔を合わせるたび、うーん、顔合わせなくても頭の中はキョンでいっぱい。どんどん大きくなっていく。
 いつか俺の頭がパンクしちゃうんじゃないかって、ヒヤヒヤしてるくらい。

 キョンに悪いなって思って(こんなこと思うのも初めて)、今までの女の子に断りを入れてるけど、これ正解。

 最初はね、本当に、キョンに対しての罪悪感だったのよ。

 でも、今は違う。

 余裕がないの。他の女の子を相手できるほど、俺の心、余ってない。

 それでも、まだ足りない。
 もっと、もっと。
 もっと、キョンのこと、知りたい。
< 193 / 380 >

この作品をシェア

pagetop