彼女を10日でオトします
そんなことを頭の片隅で考えながら、たわいもない会話をしていたらチャイムがうっすら耳に入ってきた。
どちらともなく口をつぐむ。
控え目に鉄どうしがあたる音がして、扉が開いた。
キョンは、薄い肩を素早く上げそのまま固まった。
俺とキョンの間に一本糸をピンと張ったような緊張が流れる。
カッチンコッチンになっているキョンが和らぐようにと笑顔を送り、それから光りが漏れ差す跳び箱の隙間から扉の方に目をやる。
先程入って来た男子生徒二人がバスケットボールが入った鉄の籠を持ち上げていた。
扉の段差を越えようとしているところみたい。
体育館からは、強制バスケから解放された賑やかな声が倉庫の中にまで聞こえてくる。
ガシャンと乱暴に籠をコンクリート打ちっぱなしの床に置くと、談笑しながら踵を返して扉に向かった。
どうか、こいつら一年がバカでありますように。
今日何度か目の轟音に包まれながら、細くなっていく光りの線を見つめる。
『あっれえ、お前、鍵どうしたよ?』
『うっそ、ねえじゃん。つけっぱなしにしてたよなあ?』
閉まりきった扉の外から、焦り丸出しの掛け合いが聞こえてきた。