彼女を10日でオトします
 倉庫内の変化(俺が動かした)も気づかないやつが気づくはずがないと思いながらも、ちょっとでも頭がキレるやつだったらすぐにばれてしまうと考える。
 無意識のうちに唇を噛む。

 別にバレたっていいんだけどねえ。こういう、暗闇に隠れているっていう状況がドキドキ感をかもし出すのだろうか。

『下に落ちてねえしなあ。盗まれたか?』

『盗むったって、錆びた南京錠なんかいらねえだろ』

 一年の癖に疑問持つなよなあ。いいから帰れって。つうか、帰ってください、まじで。

『まあいいんじゃね? 俺らのせいじゃないし。鍵なんて掛けなくても平気だろ』

『だよなあ。盗まれて困るようなもんなんて倉庫の中にないよな』

 ……稀にみるバカだ。盗まれて困るようなもんばっかじゃないの。無かったら授業できないっつうの。

 扉の外の(バカ)二人の足音が遠ざかる。

 いつの間にか体育館の賑わいもおさまっていて。
 二、三年がするように休み時間いっぱい体育館でボール遊びをする迷惑な輩も一年にはまだいないみたい。

「はあ。良かったね、キョン。バカな一年で。
キョンは普段の行いがいいんだね、ラッキーだよ」

 知らないうちに体に力を入れていたのだろうか、こんな短時間でも凝り固まってしまった体をほぐすべく、ぐうんと腕を天井に向けて伸びをする。

「たすくさん、どういうこと?」

 ん? 
 キョンは、いたく真剣な眼差しで立ち上がろうとする俺の腕を下へ引っ張った。

 いきなりのことに体勢を崩した俺は、体操マットの上にしりもちをついた。

「あわわ。キ、キョンちゃん、危ないでしょ。痛いじゃないの。
誘惑だったらね、もっとこう……」

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