彼女を10日でオトします
 倉庫の扉がガーっと開き、倉庫内に光が差す。

 腹を押さえて、体をよろめかせながらやっとこのことで立ち上がり、跳び箱の最上部にひじをつく。

 2枚の鉄の扉の間で両手を広げ仁王立ちしているキョンが目に入った。
 逆光によって、輪郭だけを白く浮き立たせた細いシルエット。

「たすくさん、ありがとう」

 おれに背を向けたまま呟くキョン。

「どういたしまして」

 そのまま逃げて行かないところがキョンらしい。
 思わず頬が緩む。

「お礼……になるかどうかわからないけど、ひとつ。
私の将来の夢っていうか、目標っていうか。
私ね、不幸でいたい、ずっと」

 そう言って、キョンは振り向いた。

 表情は、影になっていてわからなかった。
 けれど、その声は、底のない寂しさを滲ませていた。

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