彼女を10日でオトします
部屋を出ると、お姉ちゃんはコートを羽織りながら電話をしていた。
その口ぶりから、相手が貴兄だとわかる。
私とお姉ちゃんに間には、苗字の違いというだけではない見えない壁みたいなものがある気がする。
目には見えない壁のこっち側から、焦りながら受話器に向かって喋るお姉ちゃんをぼーっと眺めていた。
「キョンは行かなくていいの?」
たすくさんが、私の耳にそっと顔を寄せてひそめた声で囁いた。
「姉の夫の叔母さんっていいったら、ほとんど他人みたいなものだもの。
一度しか会ったことのない方だし。
私まで病院に押しかけたら、逆に迷惑になってしまうわ」
私は、お姉ちゃんを見つめながら、ぼんやりとした頭で答えた。
少し間をあけて、たすくさんは「そっか」とだけ返した。
「貴史は、学校から病院に直接向かうって。
夕飯は、申し訳ないけど、適当に済ましてちょうだい。
じゃあ、響ちゃん、行ってくるわね」
お姉ちゃんは、そう私に告げると、足早に外へ出て行った。
私の「気をつけてね」という声は、ドアについたベルの音にかき消されてしまった。
その口ぶりから、相手が貴兄だとわかる。
私とお姉ちゃんに間には、苗字の違いというだけではない見えない壁みたいなものがある気がする。
目には見えない壁のこっち側から、焦りながら受話器に向かって喋るお姉ちゃんをぼーっと眺めていた。
「キョンは行かなくていいの?」
たすくさんが、私の耳にそっと顔を寄せてひそめた声で囁いた。
「姉の夫の叔母さんっていいったら、ほとんど他人みたいなものだもの。
一度しか会ったことのない方だし。
私まで病院に押しかけたら、逆に迷惑になってしまうわ」
私は、お姉ちゃんを見つめながら、ぼんやりとした頭で答えた。
少し間をあけて、たすくさんは「そっか」とだけ返した。
「貴史は、学校から病院に直接向かうって。
夕飯は、申し訳ないけど、適当に済ましてちょうだい。
じゃあ、響ちゃん、行ってくるわね」
お姉ちゃんは、そう私に告げると、足早に外へ出て行った。
私の「気をつけてね」という声は、ドアについたベルの音にかき消されてしまった。