彼女を10日でオトします
 テーブルに並べた食材を眺める。

 ううむ。本気で悩むときって、頭が無意識のうちに傾くのね。
 そんな些細な発見で、料理のアイディアが浮かぶわけもなく。

 とりあえず、作ってみよう。
 作りながら、何かが思いつくかもしれないわ。

 まずは、手に巻かれた邪魔な包帯を取る。

 料理好きだけれど、何かとそそっかしいおねえちゃんは、台所に救急箱を用意してある。半透明のプラスチックケース。戸棚にしまってあるそれが我が家の台所用救急箱だ。

 茶色っぽく変色している火傷の場所にガーゼを当てて、その上から防水の透明なフィルムを張る。うん、我ながらよくできた。

 本当、これくらいでいいのよ。わざわざ包帯なんか巻かなくても。

「よし!!」

 自分に気合を入れて、食材を切る作業に取り掛かった。

 に、にんじんってこんなに硬いの!?
 おねえちゃん、よく、こんなものあんなに細かく切れるわよね。

 たまねぎって目にしみるって迷信じゃなかったのね!!
 あー、涙がとまらないわ。もう降参。ちょっと大きいのは、噛めばいいのよ、噛めば!

 ……これ、どうやればいいのよ。
 ぎゃ!! 目が合ったわ!! 
 この子死んでるわよね? 魚類の癖に睨むなんて生意気よ。
 わ!! 半分に切ったら、中から、でろんとしたのが出てきた!!

 あ……卵割るのって、力加減が難しいのね……。
 カ、カラは、きっとカルシウム摂取になるわ! だって、ほら、白いもの。

 この葉っぱは、食べれるのかしら?
 公園の地面に積もっている落ち葉にそっくりなこれ。
 まあ、冷蔵庫の中にあったんだから、食べれるわよね。
 おねえちゃんに、落ち葉を拾って冷蔵庫で冷やすという趣味はないと思う。
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