彼女を10日でオトします

 お鍋を取り出し、ざいりょうを放り込む。
 そして火をつけた。

 後は味付けね。

 これは、大問題だわ。
 どの調味料を入れれば、どういう味になるのかすらわからない。

 ……全部入れれば何か味はするわよね。そうよ、全部いれましょう。

 塩、砂糖、あれ? ダシって鰹節だったかしら?
 しょうゆ、みりん、ターメリック、豆板醤にオイスターソース。
 あ、ケチャップとソースとマヨネーズも入れてみようかしら。
 
 片っ端からお鍋に調味料をサブサブ加えて、お鍋の中をかきまぜる。

 なんだ。私にも料理できるじゃない。
 案外簡単なのね、料理って。

 鼻歌すら出てきた私が上機嫌でお鍋をかきまぜていると、後ろから声が聞こえてきた。

「キ、キョン、な、何してるの?」

 振り向くと、大胆に顔を引き攣らせたたすくさんが立っていた。

「ん? 見ればわかるでしょ? 料理。
今ね、かきまぜてるのよ」

 鍋の中から、かきまぜていた道具を「ほら」と出すと、たすくさんは、何故か目を丸くした。

「あ、泡だて器で?」

 震えた指で私が握るものを指すたすくさん。

「これって、そういう名称があったのね。
これってかきまぜるものでしょう?」

「ま、まあ、そうなんだけど……」

 あら? たすくさん、どうして一歩引いているのかしら。
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