彼女を10日でオトします
 (たぶん)火が通ったお鍋の中のモノをお皿にうつす。

 全体的に黒いのはご愛嬌ってことで。見た目とお味は、比例するとは限らないっていうのは、もはや一般常識。

「どうぞ」

 テーブルの上に置いた黒いモノが乗ったお皿を注視するたすくさん。その綺麗に整えられた眉がぴく、ぴく、と痙攣しているように見えるのは何故かしら?

「あ、ありがとう……。
キョン、参考までに料理名を伺ってもいいかな……?」

 たすくさんの右手にあるスプーンとお皿が触れている部分から、カチカチカチカチと小刻みな音が聞こえる。

 たすくさんって、高校生にしてアル中なのかしら?
 手が震えているわ。

「料理名……考えてなかったわ」

 私の言葉にたすくさんは、お皿の中に視線を落とし、小さな声で「創作、ね」と呟いて、黒い塊の中にスプーンを差し込んだ。

 そして、スプーンの上に黒い何かを乗せ、口に運ぶ。

 私は、その瞬間、とてもわくわくした。
 生まれて初めて作った料理を誰かに食べて貰えるのって、とても楽しいことなのね。

 たすくさんはスプーンを口に入れた瞬間、たすくさんは、大きく目を見開いた。
 それと同時に、たすくさんの首に筋が立つ。

 瞬きを数回して、たすくさんは、それを飲み下した。租借は省略したらしい。

「どう? 私、生まれて初めて料理したの」

「ぅ……Wonderful……」

 たすくさんは、流暢な発音で答えた。
 どういう意味で言ったのかしら?
< 219 / 380 >

この作品をシェア

pagetop