彼女を10日でオトします
「ヒデ、やめて!!」

 琴実さんは、ヒデさんとたすくさんの間に割って入った。足が縺れたのか、倒れ込みそうになり、それをヒデさんが受け止めた。

「たすくは悪くない!」

 ヒデさんの腕に捕まりながら、必死にヒデさんに訴えかける。

「琴実……」

「たすくは、何にも悪くないの……。悪いのは、弱い私……。兄ちゃんを止めなかった私……」

 ぽつり、ぽつりと琴実さんが呟いた。

「兄ちゃんの部屋から持ってきたの……」

 たすくさんは、「兄ちゃん」という単語に過剰に反応を示した。
 ただでさえ大きい目を見開いて、琴実さんを凝視する。

「一昨日、お兄ちゃんの様子を見に部屋に行ったんだ。そしたら、兄ちゃん、倒れてた……」

「じゃあ――」

「そう」と、琴実さんはたすくさんの空気みたいな声を遮った。

「……たすくのお母さんと一緒に」 
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