彼女を10日でオトします
 床と上靴の底がこすれる音がして振り向くと、ヒデさんが琴実さんを抱き上げてベッドに連れて行こうとしているところだった。

 琴実さん……大丈夫かな。

 二人がカーテンの向こうに消えたことを確認して、もう一度、たすくさんが出て行った扉を見つめる。

 扉を開けば、たすくさんがそこに待っているような気がする。

 あの寂しげな瞳を湛えて、私を待っているような……。

「キョンちゃん、どこいくの?」

 背中にかけられた声で、私が、扉の前まで移動していたことに気が付いた。手が、扉にかかっていて、はっとする。

「ヒデさん、私……」

 振り向けば、ヒデさんは、私のすぐ目の前に立っていた。

「キョンちゃん、そんな顔しちゃって……。
あーあ。キョンちゃんなら、たすくの『好き好きビーム』にやられないと思ってたんだけどな」

 ヒデさんは、失敗失敗といって、頭をかいた。

 好き好きビームって。
 やられてるつもり、ないわよ。

「たすくもさ、本気みたいだったから、今まで水差さなかったんだぜ」
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