彼女を10日でオトします
 ふう、と、溜め息に白い色をつけたような煙草の煙がヒデさんから吐き出される。

「キョンちゃん、たすくはやめておこうか」

 へ?
 思わず「じゃあガムで」と言いそうになってしまうほど、ヒデさんの口調は「アメはやめておこうか」とでも言うような、軽いものだった。

「いや、ね。悪いやつじゃないんだよ、たすくは。
たださ、さっきの見ててわかると思うんだけど、面倒なモン抱えちまってるからさ」

 私がたすくさんのことを好き、というていで喋っているように聞こえるのは気のせい?

 余程、私は変な顔をしていたのかしら。

 ヒデさんは、困ったように笑って、
「すっぱりと諦めろって言ってるわけじゃないんだよ。
だださ、今はもう少し時間と距離を置いて――」
 と付け加えた。

 諦めるも何も私は別にたすくさんのことなんか……と思っているにも関わらず、私は「そんなの」と声を上げていた。

「そんなのって、好きとはいわないじゃない!!」

 驚いた。私の口は、勝手に動いていたのだから。

「一度でもたすくさんから逃げてしまったら、胸を張って『好き』だなんて言えっこない!!」

 驚きながらも、胸の奥で自分が言った言葉に深く頷いていた。

 きっと……これが私の本心なんだ。
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