彼女を10日でオトします
 ヒデさんは、未確認生物でも見るように目を見開いて私を見つめ、それから、くっくっと喉を鳴らして笑いを堪え……いいえ、確実に笑った。

 思わず私は、ムッとする。

「……なるほど。まあ、そうだよな
俺も、琴実に惚れちまったせいで、どっぷり巻き込まれてるわけだから、人のこと言えねえや」

 しょうがねえよな、と呟きながら、煙草の吸い口を親指で2回弾き、デスクの上に置いたアメの缶に灰を落とした。

 ほろ、ほろ、と形を崩しながら缶の口に吸い込まれていくそれは、とても儚くて。
 たすくさんの背中と妙に重なってしまって、目が離せなくなってしまった。

「あいつ、ヤバいぞ」

 ヒデさんは、低く、強く呟いた。

「俺だけで探そうかと思ってたから言わないつもりだったけど……。
キョンちゃんの気持ちを聞いちゃったら、言わないわけにはいかねえよな」

「ヤ、ヤバい……?」

 ヒデさんの険しい表情に、私は、身震いしてしまった。

「前に一度、見たんだよ。さっきみたいなたすくの目」

 私に「ごめんね」と告げたたすくさんの瞳を思い出して、全身に寒さをおぼえた。

「中2に終わり、あの目をしたたすくを見た後、姿を消した。
後でのどかチャンに聞いた話では、それからすぐに、自分で自分の腹――」

 ヒデさんは、そこで、話を区切り、缶の縁で煙草の火をもみ消した。
 そして、再び、私を見据えて言った。

「刺したんだとよ」

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