彼女を10日でオトします
 もうひとつ驚いたこと。払いのけられると思っていた俺の手、キョンの頭を3回も上下に往復していた。

 この髪の毛、染髪したことないんじゃないかな。つるつる過ぎぃ。

 頭のてっぺんに置いたはずの手の平は、あっという間に三つ編みの編み始めに到達してしまう。

「戸部さんは、どうして……あっ!」

 きたぁぁぁ!! 運転手サン、ナイスだぜぃ。左折で足をとられたキョンは、俺にぶつかってきた。

 空いている方の腕で、キョンの華奢な体をすかさずキャッチ。

「す、すいません!」

「いいって、いいって」

 慌てて離れようとするキョン。俺の胸を押す。

 ふふーん。せっかく捕まえたのに、逃がすわけないじゃない。

「あの……」

 離してくれってことね。

 イ・ヤ。

「キョンが怪我したら困るもん。このまま捕まってて、ね?」

 捕まっててっていうか、抱きしめられてて、が正解だけれども。

「怪我なんかしませんから、離してください」

 うわ。キョンちゃんったら、はっきり言うー。

「遠慮しないの」

「遠慮じゃありません。触れていたくないだけです」

 さらにはっきり言うねぇ。俺、泣いちゃうよ?

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