彼女を10日でオトします
 ズキン? ズキンって何?

 そんな疑問が頭をめぐる中、バスのステップを踏んで駅前に降り立つ。

 もう、木枯らしと呼んでいい風が、行き交う人々の隙間を縫うように吹き抜けた。

 俺を待ってくれている、キョンの長い三つ編みが大きく揺れた。

「キョン、寒いね。大丈夫?」

「大丈夫です」

 そう一言残して歩きだしたキョンの小さな背中。

 まだ会話は続かないし、ぶっきらぼうだけれど、ちゃんと俺に返してくれる。

 それだけで嬉しくなった。変なの。
 はは。俺、変になっちゃったかも。

「キョーン! 俺は、大丈夫じゃないのー。凍えそう!」

 少しだけ先を歩くキョンは、振り返って、

「いいんじゃないですか? 凍えれば、戸部さん、静かになりそうですし」

キョンちゃん、キビシー。

 それだけ言い放って、またスタスタ。
 
 俺もキョンの速さに合わせて、今度は右側についた。

「そうじゃなくて、温めて? って意味なんだけどなぁ」

「そういうことは、私に言わないでください。
戸部さんには、頼まなくても温めてくれる人がたくさんいるじゃないですか」

 あーらら。
 

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