彼女を10日でオトします
 教科書を押し戻されたキョンは、ううむ、とシャーペンをコメカミにあててうなる。

 なんとまあ、かわいい仕種ですこと!

「夕ご飯の後、貴史に教えて貰ったら? それに、そろそろ響ちゃん――」

 キョンの肩がピクっと震え、燈子さんの目がゆらりと光った。

「お、お姉ちゃん、私、たまには、制服のままでもいいかな~、なんて……」

「おだまりっ! 占い師の基本は、まず衣装!」

 燈子さんは、カウンターにダンッと手をつき……それにしても、今にも「いいえ、わったっしっは」って歌いだしそうなくらいすんごい剣幕。

 占い師の基本が衣装っていうのは、正直どうかと思うけど。
 
 意見するのは、よしておこうね。今の燈子さんの勢いじゃ、何らかの刃物が飛んできてもおかしくないと推察される。

 カウンターの奥の扉の方へ、ずるずる引きずられていくキョン。

 キョンの腕を引っつかむ『アグレッシブな』燈子さんは、

「今日の響ちゃんは、略して『アラビアン占い師“ジャスミン響子”』よ!」

と、カウンターから覗く急な階段に高らかな笑いをこだまさせながらドスドスとのぼって行った。

 な、なに、今の!? 聞いた限りでは、全く略している印象は受けな――はっ!

 燈子さん、そこは『略して』じゃなくて、『題して』じゃあ……。
 

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