ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)
一通り説明して教壇を降りると、和香ちゃんが傍に寄ってくる。


「未琴は私と一緒!」


「私もそう思ってました」


2人で手を取って微笑み合う。


和香ちゃんと一緒にいるのはすごく楽だ。


おおらかだし、私と違ってはっきりとものを言う。


かといって我が強すぎる訳でもなくて、上手く場をまとめてくれる。


共働きの両親に代わって、小さい頃から家事をこなしているから、お料理要員としても申し分ない。


「俺黒毛和牛と焼きそば〜」


いつの間にか近くに来ていた篠宮くんが口を挟む。


同時に、和香ちゃんが眉をひそめた。


「あんたを班に入れた覚えはないんだけど……?」


「いやッ!細菌を見るような目はいやッ!俺はかびるんるんじゃないから!つかこの流れで俺入んないの!?」


「補習テスト受からないやつに人権はないから……」


「ちょっと申し訳なさそうに言うな!しかもそもそもまだ受けてないし!」


またぎゃあすぎゃあすと始まった諍いからこっそり抜け出して、私は教室の後ろへ向かう。


下手に口出しすると火傷をするので、こういう時は静観だ。


篠宮くんも和香ちゃんも、本気で喧嘩しているわけじゃないからきっと大丈夫。


それよりも気になることがあった。
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