ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)
「知ってると思うけど、今日遠足の班決めと行程決めするから。だいたい1班4、5人な。仲良いやつで組めばいいけど、料理できるやつ1人は入れとけよ」


詳細が載ったプリントを配布する志谷先生に、篠宮くんが手を挙げる。


「それって絶対?」


「絶対。教師はそれぞれの班から少しずつ貰うって決まってんの。俺野郎どもの得体の知れないどぶ料理食いたくない」


「ひどい!」


篠宮くんは立ち上がって抗議するも、志谷先生に座れ、と一蹴されてしまう。


どぶ料理呼ばわりされてゲラゲラ笑っている男子たちは、なんだかんだ志谷先生の言いつけを守るのだろう。


クラスを仕切るような子も、意外と志谷先生には従順だ。


「じゃ、あと委員長の羽瀬よろしく」


志谷先生はそう言ってひらひらと手を振ると、教室の後ろの空席に座ってしまう。


こういう人使いの荒さがなければなぁ、と独りごちながらも、頼まれてしまっては仕方がない。


私は教壇に上がると、黒板に1~10までの数字を簡単に振る。


うちのクラスは40人クラスだから、10枠あれば十分だ。


「班員が決まったら名前を黒板に書きに来てください。連絡係のリーダーも決めて欲しいので、リーダーは1番上に名前をお願いします」


私は手についたチョークの粉をぱんぱんと払う。


「決まった班は、クラスレクレーションでやりたいことを考えておいて下さい。15分になったら聞きます」
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