ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)
最近発見したのだけれど、三神くんは意外とよく笑う。


常に不機嫌で眠そうな顔をしているから気が付かなかった。


笑ったら人懐っこいのに。


「三神くん、さっきから手が止まってるよ」


「はいはい」


三神くんはペンを持ち直し、問題集を進める。


もし、クラスのみんなが本当の三神くんを知ったら、きっと彼に惹かれると思う。


無愛想で少し乱雑だけれど、三神くんの言葉に棘はない。


それなのに誤解されている三神くんを見ていると、すごく勿体ないような気がして、私はいつも堪らなくなってしまうのだ。


夕焼けが三神くんの頬に睫毛の影を落とし始める。


その翳りの美しさに惹き付けられるように、私は口を開いた。


「三神くん」


「勉強するんじゃないんですか、いいんちょー」


あ。


自分で三神くんを促したのに。


いけないいけない、と首を振る。


「ごめん、続けて」


「嘘だよ。何?」


三神くんは問題を解きながら尋ねる。


伏せた目が、文字を追う度に揺れていた。
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