ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)
太陽が落ちてきそうなくらいの晴天に恵まれた6月某日、私たち実泉高校の2年3組は、隣県にあるアウトドア施設へと向うために、校門前に止まった貸切バスに集合していた。


待ちに待った遠足は、もちろん三神くんも参加。


浮き足立つ気持ちを抱えて貸切バスに乗り込めば、通路を挟んで隣の席に明るい色の頭を見つけた。


「おはよう、三神くん。ちゃんと起きられたんだね」


「いや、志谷が電話掛けてきた」


三神くんはくぁ、と欠伸をしながら答える。


「志谷先生が?」


「『お前が遅刻したら俺が車出さなきゃいけないから』」


志谷先生の言葉をそのまま口にした三神くんに、私は思わず吹き出してしまう。


なんとも志谷先生らしい。


保身第一であまり教師らしくないけれど、三神くんをうちの班に編成したりモーニングコールをしたり、案外世話焼きなのかもしれないと考えると、なんだか少し面白かった。


バスには事前のLHRで決めた席順の通りに、どんどん人が乗り込んでくる。


和香ちゃんは私の隣、窓際の席。


篠宮くんは私の前の席で、隣には志谷先生が座っている。


三神くんは余りの1人席だ。


本当は篠宮くんが横に座るはずだったのだけれど、篠宮くんは前の方が広いからという理由で移動してしまった。
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