ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)
全員が乗り込んだのを確認してバスが学校を出発すると、いよいよわくわくしてくる。


私は和香ちゃんがおすすめだという曲を聴いたり、スマホのアプリでクイズをしたり、移動時間を存分に楽しんでいた。


やっぱり和香ちゃんと同じ班でよかった。


移動時間がすごく楽しい。


途中ちらりと三神くんを窺うと、早起きが辛かったのか、黒の帽子を顔に被せてすぅすぅと寝息を立てていた。


せっかく外に出ているのだからもったいないなぁと思うけれど、いつも寝不足みたいだから仕方がない。


着いたら起きてくれるのかというところだけが不安だ。


バスは時間通りにポイントを通過して、行程は順調に思えた。


ところが、1時間も経たないうちに前の席の篠宮くんが「酷い!」と声を上げた。


どうやら、「ぎりぎりで参加決まったのによく施設が人数変更受け入れてくれたね」という話から飛び火して、志谷先生の嘘に気付いてしまったみたいだ。


驚愕の事実を知った篠宮くんは相当なショックを受けたらしく、志谷先生に掴みかからんとするばかりに騒ぎ出した。


そしてかれこれ15分くらい、篠宮くんは志谷先生に悲痛を訴えている。
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