Love Eater Ⅲ
ソルトであっても今更その役割を放棄しようなんて心持ではない。
告げるべき言葉は告げた。
処刑に至る理由も。
最早、刑を執行するばかり。
すでに引き金にあった指に力が籠められ、今にも発砲音が狭い空間に鳴り響かんという刹那。
「俺もあんたが好きだったよ。…今だってな」
「っ……」
ソルトがそんな言葉言うや否や、劈くような発砲音が響き時雨の体を銃弾が貫いていき。
その姿が地面に伏するまでは一瞬のこと。
それでも撃たれたその直後まで時雨の笑みは苦痛にも歪む事はなく。
寧ろ、今までよりずっと安らかに感じられる笑みをソルトに向けてその生を手放していったのだ。
『本当…最後の最期までお人好しですね』
そんな一言を胸の内で呟きながら。