Love Eater Ⅲ


どうして投獄されるような罪人とされてしまったのか。

その理由を突き詰めたくともどうやら百夜も細かい詳細までは知らないらしい。

こうなってしまえば最早ソルトがなせる術などある筈もなく。

ただ彼女があのまま全てを思い出していればいいと願うことばかりである。

それに、ソルトだっていつまでも捨て置けないと存在がいるのだからして。

その為にこうして現実に回帰したのだ。

「で?六花は?まだあいつに捕らわれたままなのか?」

もし無事に奪還していたのなら今頃きゃんきゃんと喚いて自分の周りにいる筈だ。

そうでない現状、浮かぶ結論は前者のものであったのだが。

「いや、……六花なら取り戻したさ」

「へっ?」

「ただ…、リッくんが臨死体験してる間に六花も絶賛臨死体験中で…ほら、そこに、」

「………………はあっ!!?」

一体何を言われているのか。

言葉としては意味がわかるのに意味がわからない。

理解が及んだのは視覚でそれを捉えた時だ。

自分が横になっていた診察台より頭上の方向。

百夜が選りすぐって選んだのだと知っている座り心地の良いソファの上で、身動き一つせず横たわっている六花を捉えてようやく。

「っ……何でだ?…あいつか?時雨は何をした?」

時雨が欲しがっていたのは良くも悪くも六花の肉体だ。

だから、何があっても六花の命そのものが脅かされる事などないだろうと思っていたのに。

自分がフェードアウトしている間に全くの予想外へと事態が展開していた事にはソルトも動揺を隠せる筈がない。

一体何で?

見たところ致命傷となるような傷もないのに。と、六花の傍に寄ったタイミング。


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