Love Eater Ⅲ
ソルトの不満や苛立ちはどこまでも六花に向けて。
「俺が居なくなろうともっと図太く都合よく生きていけよっ!!魔女の癖に欲が無さすぎなんだよっ!!これだから放っておけねえんだ、大馬鹿野郎っ!!」
「…まあ、ある意味魔女らしい屈折した唯一の我欲を失ったからこそ消滅しかかってるんじゃないかい?」
「……」
「都合よく生きてられたら苦労はしないさ。僕も時雨もね」
唯一の存在失って都合よくなんてそうなり得るものじゃない。
今この現状がいい証拠であり、割り切れなかった者達の拗れた想いの末路。
それはソルトもまたよく分かってはいて、分かってはいてもやはり遣る瀬無く胸が疼いて拳を握ってしまうのだ。
「……やっぱり、一発殴る」
「……」
「現実に引き戻した後にな。保護者として一喝する必要はあんだろ?」
「フッ…そうだねえ。頼りない実父の僕の分まで折檻しておいてもらおうか」
「じゃあ、さっさと起こしにかかりますか。時間もねえ事だし」
「それには僕も大いに賛成ではあるんだけどねえ。肝心な六花の欠片ってやつを花鳥がどこへ隠したやら」
「ああ、それなら多分分かってる」
「……はっ?」
全くもって問題ないと言わんばかりに発せられた一言は予想外も予想外。