Love Eater Ⅲ
まして、今の今まで状況知らずであったソルトなのにと目を丸くするのも当然。
そんな百夜の呆けにソルトも一笑を漏らし、
「多分…ここ、」
と、百夜の胸を突いて見せたのだ。
「……はっ?」
「さっきから可笑しいなあとは思ってたんだよ。六花の気配つうか、匂いが変に分散してるなって。しかも、本体よりどうもお前からの方が濃くて。まあ、話を聞いて納得というか、確信というか、」
「……そうか、リッくんは他の魔混じりより五感が効くから、僕たちが気がつけなかった気配も嗅ぎつけられるって事か」
「多分な」
「と、なると、六花の意識が僕に入り込んだのは僕にかかってた呪いがとけた時か。憶測だが花鳥は赤子だった六花に僕の半力と知力を預ける事でその生命を繋いだんだろう。そしてそれが解けた際に力の回帰と一緒に今度は六花の意識が僕の中に移りこんだ」
「それで、あんなガキの頃からクソ生意気な大人発言だったってわけだ」
「……リッくん。さっきから案外色々と言ってくれるねえ。腐っても僕六花の父親よ?」
「はっ、腐ってるならそのまま腐り落ちてろよ。言っとくけどポッと出の親にへいこら気を使う気はねえからな。なんなら俺の方がよっぽどあいつの世話焼いてきてんだ」
「うーん、それについては確かに返す言葉もないねえ。なんなら、これからも特別親ぶるつもりもないしねえ」
「まあ、父親談義はともかく置いといてだ。時間もねえ事だしさっさとこの馬鹿の意識とやらを取り戻して来てえんだけど?」
「確かに、そっちのが最優先だ」
こうして話している間にもタイムリミットは迫っているのだ。
補足事情は後からいくらでも話せるだろうと、ようやく本題へと行動を移し始めていく。