オトナだから愛せない



スマホの上で指を滑らせ私は自分の感情とは相反する文字を打ち込んだ。











こうして布団に包まって横になっていたらそのうち、知らないうちに眠っていて気づいた頃には朝になっているに違いない。



とりあえず部屋の電気を消し未だ窓の外で鳴り続けている音に耳を塞ぎながら全身を布団の中に潜り込ませた。



早く朝になれ、早く朝になれ、早く朝になれ。



そんな効力ゼロのおまじないを唱えながら。



と、



《ピンポーン》



雷の音とは違う機械音が部屋中に鳴り響いた。こんな時間にお客さん?



《ピンポーン、ピンポーン》



再度鳴らされたその音にのそりと起き上がり部屋の電気をつけて、寝室から暗闇のリビングの壁にあるインターフォンを目指す。



こんな雷の日にいったい誰だろう。訪問者だなんて少々怖いのですが……。



恐る恐る受話器を持ち上げ「どちら様ですか?」と小さな声で問いかければ聞きなれた低めの声音が「俺だけど」となんだか少しぶっきらぼうに答えた。



きっとインターフォンに向かって喋るのが恥ずかしいのだろう。



パタパタとスリッパを鳴らしながら小走りで玄関まで向かうとそのままガチャリと重たい扉を開けた。


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