オトナだから愛せない
「どうしたって嫌だったんだよ」




皐月くんと私が出会って約1年。











珍しく皐月くんが、車で出勤したなぁと思ったら仕事終わりにご飯に行こうと誘ってくれて。帰ってる時間がないからと、皐月くんの会社で待ち合わせをすることになった。




「制服じゃないし、メイクもちゃんとしたし、これなら大丈夫だよね?」




皐月くんの会社の下でガラスに映る自分をチェックする。この時間なら人も少ないから大丈夫と皐月くんに言われ、学校が終わって急いで飛んできたものの学校とは違う慣れない環境に緊張することしかできない。



もし皐月くんの知ってる人に一緒にいるところを見られたらまずいし、私が高校生だなんてバレたらとんでもないことになると思い、なるべく大人に見えるようにしてきたつもりだ。



清潔感のあるネイビーのワンピースに髪もちょっと巻いて。誰も私が10代だなんて思わないだろう。



ちらほらと、ビルの中からスーツを着た男性が出てくる。皐月くんのこと知ってる人だったらどうしよう。



ちらりとこちらに向いたその男性は、なぜか私の方へ歩いてくる。どうして?なんで?思わず俯いて目を逸らす。




「あの、誰か待たれているのですか?」

「え、あの、その」

「あ、(わたくし)この会社の者で、誰か待たれているのなら受付で繋いでもらった方がいいかと。と、言ってももう華井しか残っていないと思いますが」




長身のすらりとした男性は少し高めの声で優しく私に話しかけてきた。



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