オトナだから愛せない
「お前は、そんな格好しなくても綺麗なんだよ。化粧も、まだ早いだろ。あと、助けてもらってんな」
「でも、あれは不可抗力で」
「それでもダメなものはダメだ。どうせあいつのことかっこいいとか思ったんだろ」
皐月くんの背中を追いながら、綺麗だと言ってくれたのが嬉しくて思わず口元が緩む。
「たしかにイケメンだったよ」
「てめぇ、」
「でも、皐月くんの方が何十倍もかっこいいよ」
そう言えば皐月くんはぎゅっと私の手を握る力を強めた。
「でも、皐月くん、さっきの人に私と皐月くんのことバレちゃったけど大丈夫……?」
「大丈夫だろ、あいつ面白おかしくそういうの人に話す奴じゃないし、それに胡桃、お前あと1週間もしたら卒業だろ」
「そうだけど、でも、あんなこと言わなくても」
「いんだよ別に」
「……」
「(そんなことよりお前が他の男に触られてるのが、)」
