オトナだから愛せない
「大人が甘えたい時のずるい手段」

誰……?
リビングにある紺色のソファに座り、スマホの画面に映し出された文字をなんの躊躇いもなくさらりと読んでみた。
が、その内容に慌てた私は無残にも、てのひらからするりとスマホを床に落とすこととなる。
それくらい、動揺した。
あぁ、買ったばかりのケースに傷がついたらどうしてくれるのだ。という逆恨みをしながら、落としたそれを拾い上げ確認する。どうやら無傷で済んだらしい。
と、まあ、そんなことはこの際どうでもよくて。
画面をじっと見つめて、まるでガムシロップで白く濁ったアイスティーのように激甘な文章を送ってきた相手を再度確認する。
けれど、自分の見たその名前が信じられなくてスマホのホームボタンを押し、いったんホーム画面に戻して、さきほど見たものを一度リセットした。
きっと、私は、私の頭の中で作られた願望による幻覚を見ているのだ。