桜 夢 (オウム)
「ってまあ、冗談ですけどね。んなわきゃない」

あっさりと顔を戻すと、信山はうまそうにビールを飲んだ。

プハーッ。

酒臭い息がかかる。

やはりこいつはゆるせねえ。もうまじめに話なんか聞いてやるものか。

「どうですかね、この話。小説のネタになりませんか。うまくいったら、ギャラは五分五分でどうです」

「いやあ無理でしょ。第一ひねりが無さすぎですしね」

少々のいやみを込めて言うが、信山にはまるで通じない。

そうそう、とまた話し掛けてくる。

いいかげん帰って欲しい。ひとりになりたくて、ここに来たというのに。

「そういえば、あなた。もう見ましたか」

「なんのことです」

「ほら、あれですよ」

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