桜 夢 (オウム)
「ここの村人たちは、みな、殺人鬼なんですよ。外部から訪れた何も知らない旅人を襲っては、あの桜の下に埋めてるんです。生け贄としてね。だからあの桜は、あんなにも美しく咲き誇っているんですよ」

「いや、それはいくらなんでも…」

言いかけた私を手で制し、信山はさらにぐいぐいひげを押しつけてくる。

「気を付けたほうがいいですよ。油断してると、いまにわたし達も…」

そんなわけ…ないだろうか。

風に吹かれてここまで来たのか、花びらが一枚、わたしの手の甲に落ちた。

確かにあの桜の美しさは、人外の物としか思えない。

もしや…

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